むぎや 富山に伝わる三つの民謡より

合唱曲/ジャントコ~イ ジャントコイ♪

『むぎや』は、富山県民謡『麦屋節(むぎやぶし)』をモチーフとした合唱曲。「麦や菜種は二年で刈るが」のフレーズなど、民謡の歌詞や囃子言葉が用いられている(後述)。

作曲は、富山県富山市生まれの作曲家・岩河 三郎(いわかわ さぶろう/1923-2013)。合唱組曲「富山に伝わる三つの民謡」の一曲で、『むぎや』、『こきりこ』、『越中おわら』の合計3曲の富山県民謡を題材とした合唱曲から構成されている。

写真:麦屋まつり 越中五箇山麦屋節保存会(出典:五箇山彩時季)

平家の隠れ里 富山県五箇山地方

合唱曲『むぎや』が題材とした富山県民謡『麦屋節(むぎやぶし)』が伝わる五箇山(ごかやま)地方は、源氏に滅ぼされ全国各地に落ち延びた平家の隠れ里の一つとして知られている。

民謡『麦屋節』の歌詞では、「平家」、「落人」などの直接的な単語は使われていないが、命からがら逃げ延びた平家の落人たちの悲哀に満ちた感情が随所に表現されている。

紋弥爺さんって誰?

合唱曲『むぎや』の歌詞にたびたび登場する紋弥(もんや)爺さんとは、五箇山へ落ち延びた平家の落人の一人、平紋弥(たいらのもんや)のこと。

民謡『麦屋節』はこの平紋弥が伝えた曲とする解説もみられ、当時はその名を取って『もんや節』と呼ばれていたという。

半土用って何?

合唱曲『むぎや』の歌詞にある「麦や菜種は二年で刈るが 麻が刈らりょか 半土用に」の半土用(はんどよう)とは、麻が刈り取られる時期の7月の終わり頃を指す。

麻(あさ)は春ごろに蒔かれて数か月でぐんぐん育ち、青々と生い茂る7月の終わり頃に早々に刈り取られてしまう。麦や菜種に比べて数か月で刈られる短命さと、源氏に滅ぼされた平家の儚い運命が重ねられているということだろう。

囃子言葉について

「ジャントコ~イ ジャントコイ♪」という囃子言葉(はやしことば)・掛け言葉については、合唱曲『むぎや』の歌詞では特徴的に用いられているが、五箇山で歌われる民謡『正調麦屋節』では歌われない。

「ジャントコイ」の意味については、他の日本の民謡と同じく特に意味合いを持たない(または失った)囃子言葉(はやしことば)と思われる。

なお、筆者の私見では、五箇山でかつて行われていた農業や林業などで、数人で力を合わせて行う何らかの共同作業において、タイミングを合わせる掛け声の一つとしてこの「ジャントコイ」が使われていたのではないかと推測している。

五箇山の平家の落人と林業の関係については、富山県民謡『麦屋節(むぎやぶし)』の解説を適宜参照されたい。

有名な合唱曲 曲名リスト合唱曲

【試聴】「富山に伝わる三つの民謡」 「むぎや」

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